takakazuのブログ

家庭菜園と、趣味での小説

悪魔の掌中その15

僕はしばらくの間手の平の錠剤を見つめて考えていました。彼はそんな僕を無言で視ていました。僕は頭の中で色々考えました。(即効性の頭の良くなる薬って有り得るのだろうか?もし本当ならおそらくノーベル賞ものだ。そんな凄い薬ならもっと世の中が騒ぐんじゃないか?僕はいままで、そんな情報聞いたことがない。優秀な者は更によくなり、並やそれ以下の者だって飲むだけで秀才になれるってことだろ?そんなの有り得る訳が無い。からかっているのか?斑目君にしては悪質すぎるジョークだ。)返そうとして「斑目くん...。」と言いかけたとき先生が入って来て、慌てて前に向き直ったので錠剤は返せなかったんです。
それから、授業に集中していたり色んな事が次々あって何時しか薬の事は忘れてしまっていたんです。そして家に帰り、予習・復習をして明日の英語のテストの為の勉強に取り掛かったんですが、なかなか思うように頭に入っていきません。僕は英語は余り得意じゃないので、イライラしてきました。「うwwだめだ~、嫌になってきた~。」そう言って、ベットにひっくり返った時、ふとあの薬の事を思い出したんです。どこだったかな?と探すと学生服の左ポケットから出てきました。(そんな怪しい薬飲むんじゃない!)と片方の心が言い、(そんな素晴らしい薬飲まない手はないぞ!)と片方では囁くのです。僕は薬の誘惑に負けてしまいました。台所に行ってコップに水を入れ、そこでも薬を見つめて躊躇しました。確か開発中とか言ってたし副作用とかあるかも知れない。それが気になっていたんです。
それでも最後は飲んでしまったんです。なるようになるだろうと。半分自棄気味になっていたんだと思います。