takakazuのブログ

家庭菜園と、趣味での小説

父子の決闘・その2

「それにしてもこちら側としては酷く不利な状況よね」と冴子。「時間的余裕だろ?キツ過ぎる」「しかしあの場では異を唱える余裕がなかった。ハヤテ君の事を思えば、後2.3日は引き延ばしたかったんだが」「だけど清志の精神的なダメージを考えると、一日でも早い方が良い。長引けばあいつの心身は持たんだろう」「...そうね。まるちゃんだってその辺は誰よりも意気に感じると思うわね」「後はハヤテ君がどこまで翼を使いこなしているかだな。一度コツを掴めば超速で神の域まで到達できる異能を持つ一族。今回はかなり手こずっていたようだが、あの電話の様子では遂に装具と一体化に成功したようだ。何か、面を通して意識をすれば空気の流れが波のように視覚できるらしい。つまり頻繁に羽根を動かさなくても波乗りの様に気流を渡り移れるんだそうだ」「え〜?気流が見える?何それ。空気に色なんてついてないよね、天狗の面を通すと色着いて見えるのかしら。いよいよ鳥人間に進化したって事かしら?でもこれって間違いなく勝算がアップしたって事よね」「うんそうだな。だが油断は禁物だ。何せ相手は龍二さんだ。闘いには経験値がものをいう。ハヤテ君は闘いは未経験で、しかも相手は父親だ。本気で倒そうと言う気概がなくてはそこに付け込まれて負ける。ハヤテ君がそこまで非情になれるかだな。」「それに比べて龍にいは憎悪の念を丸出しで倒しに来る。いえ、息の根を止める気でいる筈。恐ろし過ぎる敵だわ」二人は顔面蒼白な相手を互いに見ていた。