takakazuのブログ

家庭菜園と、趣味での小説

2022年1月のブログ記事

  • 悪魔の掌中その18

    『・・・よしー!清志ー!』母の呼ぶ声で目が覚めた。 視界が霞んでいる。幾度か瞼を瞬かせても、ぼやけた部屋が変わることはなかった。(何時?)時計は7時を示している。(7時?夜の?)窓の外を見ると、明るいから朝なのだろう。あの後、倒れ込んだまま眠ってしまったのか。悪い夢であってほしかった。体中、変な汗... 続きをみる

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  • 悪魔の掌中その17

    宇宙の果てまでも、今の自分なら飛んで行けそうな高揚感に満ち溢れじっとしていられなくなった。部屋を出て、駆け足で家を飛び出した。夕焼けが街を真っ赤に染めて、夕御飯の買い物に出掛けるおばさんや、近所の小学生達の帰る姿が目に付く。彼等に向かって「僕は天才なんだぞ~!!」と叫びたい気持ちがこみ上げてきたが... 続きをみる

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  • 悪魔の掌中その16

    薬を水と共に胃袋に流し込んだ後自分の部屋で不安と期待の入り交じった思いで机の上に両腕をのせて変化を待つ。数分もしないうちにそれは表れた。例えるなら今まで途絶える事なく淀んでいたストレスという霧が吹き飛んで雲ひとつ無い突き抜けるような澄んだ青空の中に居る様な最高の爽快感。全ての欲求不満から解放された... 続きをみる

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  • イブ#その10

     朝食をたいらげ、イブの皿を見てみると既にきれいになっている。 「ごちそうさま」と手を合わせるとイブも手を合わせた。「美味しかったかい?」と、聞くと少し間があいて頷いた。博士は食器類を片付け流し台に持って行き、替わりに少し大き目のコップに水をたっぷりと入れてイブに渡した。 暫くコップの水を眺めた後... 続きをみる

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  • イブ#その9

    イブと向かい合って食事をしながら、所博士はしみじみと思い出話を語りだした。 「私は人型ロボットを造ってみたいと幼少の頃から思ってはいたが、それは漠然としたものだった。そして年月の積み重ねによって少しづつ骨格が出来、おぼろげながら形がまとまりつつあった。しかしそれを造り上げて何になると考えた時、はっ... 続きをみる

  • イブ#その8

    お互いに一言の言葉も交わさずに向き合っていた。最も、イブは赤ん坊同然で、いや赤ん坊なら「おぎゃw」と泣くがそれさえもない。博士を視る眼は開いてはいるが、まるで夢遊病患者の如く焦点が定まっていない。しかし博士は内心喜んだ。目を開けたまま起き上がってこない事を想定していたからだ。(思った以上にインプッ... 続きをみる

  • イブ#その7

    その夜博士は凶夢にうなされていた。 突然巨大な怪物に襲われ粉々に飛び散る自分。暗闇に閉じ込められ、もがき苦しんでいる。そこに一筋の明かりが灯る。目を凝らすイブが白いドレスを身にまとい、感情のない表情で佇んでじっとこちらを見ている。「おおイブ!私を助けてくれ・・・身動きがとれないだ・・」跪きながら手... 続きをみる

  • 悪魔の掌中その15

    僕はしばらくの間手の平の錠剤を見つめて考えていました。彼はそんな僕を無言で視ていました。僕は頭の中で色々考えました。(即効性の頭の良くなる薬って有り得るのだろうか?もし本当ならおそらくノーベル賞ものだ。そんな凄い薬ならもっと世の中が騒ぐんじゃないか?僕はいままで、そんな情報聞いたことがない。優秀な... 続きをみる

  • 悪魔の掌中その14

    座れと勧められた清志であったが、うつ向いたまま動かなかった。「ちょっと・・・、清志君?」再び声を掛けかけた途端、いきなり正座して身を正した。そして号泣しながら床に顔を擦り付ける様に土下座した。 「どうも・・・どうも申し訳ありませんでした。僕がやった罪は理解してます。警察に知らせて頂いて構いません。... 続きをみる

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  • 悪魔の掌中その12

    ハヤテは夢を観ていた。それは摩訶不思議なゆめだった。柔らかいソフアーに座っている。やけに大きなサイズのソフアーだ。隣には巨人の様な男性がテレビを観ていて、時々こちらを見て優しい笑顔で話し掛けてくる。だが何を言っているのか、さっぱり解らない。自分は手にしているミニチュア・カーに夢中で相手なんかしてい... 続きをみる

  • 悪魔の掌中その13

    ハヤテは(ハッ!)として、即座に身構えた。なんという不覚。いきなり眠ってしまった。自分はどうかしてしまったのかと、自己嫌悪にも似た感情を抱きながら。 しかし、目に飛び込んできたのは虎ロープで縛られ横たわっている清志だった。クエッション・マークが、頭の中で幾つも点灯した。清志も今目覚めたらしく、驚い... 続きをみる

  • 悪魔の掌中その11

    即座にハヤテの身体が反応した。二階の踊り場まで一気に飛んだ。それはジャンプでもなけりゃ浮遊でもない。飛ぶという表現が当て嵌る。 昔の建家なので二階まで階段に沿って上がれば五,六メートル程。じいちゃんの下駄は履いていなかったが、現在のハヤテは精神集中をすれば、これぐらいの高さなら自力だけで飛べるよう... 続きをみる

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  • イブ#その5

    (あのころは楽しかったな) 授業中でもバイトでのことばかり考えていた。 入社したて、電子回路基盤と配線とのハンダ付けも初めての経験だから集中できた。しかもお金が貰えると思えば張りも出る。 3ヶ月があっという間に過ぎた頃、総務の林さんから事務室に来るように云われた。「どうだい?仕事は慣れたかな?」目... 続きをみる

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  • イブ#その3

    (あの頃の一人遊びが原点だった気がする)と遥か遠い過去に 思いを馳せ、稲光を見ている。(そして・・・)小、中、高と勉強をそっちのけにして暇さえあれば図書室で科学の専門誌を開いていた。授業はあくびが出るほどつまらなくクラスメイトが必死にノートをとり、テストがある度騒いでいるのが馬鹿くさく思えてならな... 続きをみる

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  • イブ#その2

    博士の胸に今過去の様々な出来事が浮かんでは消えた。 幼い頃から周りの人間が自分と違う生き物に思えて馴染めなかった 両親でさえも無駄な動きを繰り返す下等動物としか思えなかった。 5歳とき、父親がパソコンの調子がおかしいとディスプレィを凝視しつつ目を充血させ必死でキーボードを操作していた。 それを後ろ... 続きをみる

  • イブ#その1

    ひと際どす黒い雲の塊が辺りに落雷を撒き散らし耳を劈く雷音と共にみるみる屋敷に近付いてきた。 避雷針の真上までにそう時間はかからない。 避雷針とは文字通りにイメージすると避雷針の設置してある家屋や機器がそれによって落雷を避け被害を免れると考える者もいると思うがそれは違う。(現在は雷を避ける避雷器が主... 続きをみる

  • イブ#その6

    突如目の前を鋭く尖った光の矢が走った。間髪入れず『カリカリカリww』と空間を引き裂き『ドーンwww』と地響きが轟いた。(すぐそこまで来ている! )回想が吹き飛んで現実に引き戻された。急いでイブの許に戻り人間なら心臓にあたる部分にはめ込まれた透明なカプセルを凝視した。 中には大人のコブシ大もあるルビ... 続きをみる

  • イブ#その4

    門扉が開放されていたので、速度を落としながら警備室前を通り過ぎようとした。すると2メートル程手前で警備員が体を乗り出し腕を平行に伸ばしながら停止の合図をした。 ヘルメットを被っていたから聴こえ辛いと思ったのか、指で一角を示し(そこに停めろ)と意思表示した。(わかった)と言う代わりに首を2、3度振り... 続きをみる

  • 悪魔の掌中その10

    清志が入って来たが、麗美はいつもの様に挨拶もせず今日教えてもらうページを開き、そこを見ている。母の冴子に口が酸っぱくなる程、人に対する礼儀に気を付ける様に注意されているのだが、本人はどこ吹く風と知らん顔である。いつもなら、机にノートと筆記用具を置き、既に用意してある椅子に遠慮がちに座る清志なのだが... 続きをみる

  • 悪魔の掌中その9

    清志は、町内では真面目で勉強もよく出来ると評判の学生だ。彼が半年前「父がリストラされて生活が厳しいので、バイトをさせて貰えませんか?」と言ってきたので、塾に行かすつもりが、こういう成り行きになったのだ。冴子としては、集中して教えてもらえるし、家の中だから何かと安心だし好都合だった。彼の教え方がうま... 続きをみる

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  • 悪魔の掌中その8

    「あら~、ごめんなさい。ご馳走つくるって言ってたのに、冷蔵庫に食材、余り無いわね~」冴子はフライパンを火にかけ、油を薄く敷いて熱した後、磨ぎ卵を投入し素早く荒い目に掻き混ぜた。冷凍ベジタブルを少々とご飯と「え~と、ベーコンは~。あった!」フライパンに刻んでそれも投入。『シャカ,シャカ』と焦げないよ... 続きをみる

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  • 悪魔の掌中その7

    「変わった物、色々置いてあるんですね~。骨董品って初めて観ました。じいちゃんの木彫りもあるのかな~?」店の奥が居間になっていて、そこから店内が見渡せるようになっている。上がり框の前で下駄を脱いで居間に入った。冴子の後に付いて台所に行きすがらハヤテがそう言うと、「あれは父の形見みたいな物よ。もちろん... 続きをみる

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  • 悪魔の掌中その6

    薄暗い街並みを、『カツッ、カツッ』と一本歯下駄で歩いて行く。家々に明かりが灯り、時々笑い声が聴こえてきたりする。住宅街をこの時間に歩いているのは彼一人だけだった。 その寂しさと対照的に、車道を自動車がひっ切り無しに行き交う。山での生活しか していなかったハヤテは、カルチャーショックで軽い頭痛が起き... 続きをみる

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  • 悪魔の掌中その4

    「おじさん・・・。」 生きた心地がせず、体全体で『ハーハー。』と、荒い息つかいをして踞っている立山を、能力を使って少し疲れ気味のハヤテが声を掛ける。 「僕はまだ大人になりきれない半端者だけど、人としてやって良い事、悪い事は法律じゃなく、心が決めることだと思います。今までこういう体験が無かったから、... 続きをみる

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  • 悪魔の掌中その3

    一瞬、居間に静寂が訪れた。3人の動きも止まった。特に立山の表情の強ばりは普通じゃなかった。 (今の声!まさか?いや此処がわかるはずがない。罪の意識があるから、男の声なら皆少年の声に聴こえてきてしまうんだ。しかし・・・)あまりにも似過ぎた声だっだ。妻の幸恵がそんな夫の様子をじっと観ている。立山は根っ... 続きをみる

  • 悪魔の掌中その2

    完全に尾行者はこないと確信した立山は、荒い息を整える様にゆっくり歩いて家路に向かっていた。時々上空でバサバサと鳥の羽音がする。見上げると薄暗い空に大型の鳥が円を描くように真上を飛んでいる。(なんや、トンビかいな。俺の真上ばかり飛びやがって気色悪い)石ころがあったので投げてやろうかと拾ってはみたけれ... 続きをみる

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  • hayate2 悪魔の掌中その1

    無精ヒゲをはやし、今まで死んだ魚のような目をしていたオッサンが急に生き生きとしだした。そしてハヤテにこう言った。「それよりも、ひょっとしたらかなり遠くて時間がかかるかもしれんな~、あんた、トイレしとかなくていいんかい?」(ん?そういえば何となくしたくなってきた様な)「そうですね、じゃあちょっと待っ... 続きをみる

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  • なんでやねん?(苦笑)

    自分で言うのも何ですが、この小説結構面白いと思うんですね。 なのに、何で猫や私自身の事が最上位を占めてるの?猫は兎も角として私の事情なんかどうでも良かないか?😅

  • 鞍馬龍二 その35

    閉じている瞼の奥で眼球がせわしく動いている。まるで瞼の裏側がスクリーンになっていてその映像を観ているかの様に。顔の表情は刻まれたシワによってこちら側からは読みにくいが、吹き出している汗が尋常でないことを物語っている。 軽い気持ちで頼んだ占いが、もしや凶と出るんじゃないかという不安が二人の心に暗雲を... 続きをみる

  • 鞍馬龍二 その34

    心穏やかな時間に3人はどっぷりと浸かっている。これ程の満たされた刻を、この場所で味わった覚えは無かったと龍二は心の中で思った。 同じ人間に生まれながら差別によって山での生活を余儀なくされた不満を、小さい頃から絶えず抱いていた。口惜しくて感情の赴くまま泣き叫んだ事もあった。いつも心に靄がかかってやり... 続きをみる

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  • 鞍馬龍二 その33

    心穏やかな時間に3人はどっぷりと浸かっている。これ程の満たされた刻を、この場所で味わった覚えは無かったと龍二は心の中で思った。 同じ人間に生まれながら差別によって山での生活を余儀なくされた不満を、小さい頃から絶えず抱いていた。口惜しくて感情の赴くまま泣き叫んだ事もあった。いつも心に靄がかかってやり... 続きをみる

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  • 鞍馬龍二 その32

    エンジンの唸る音の割にはスピードの出ない車の中だが、将来の夢を語り合う夫婦には最高の空間であった。ラジオでは松田聖子の赤いスイトピーが流れていて、澄子が合わせて歌っている。龍二はニコニコ笑ってそれを聴いている。 やがて田舎道の正面に深緑色した小高い山が見えてきた。ここからは茂みに阻まれ家は見えない... 続きをみる

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  • 鞍馬龍二 その31

    澄子のお腹は日に日に大きくなっていく。男性である龍二には、それを当たり前のことだと理解しつつも不思議な思いで見ている。龍二は、澄子の体の事が心配で産まれるまで店を休むよう提案したが、「まだ大丈夫よ。」と笑って応える。あまり胎児が大きくなると出産が大変なんだと、さらしを巻いて抑えたり適度な運動が必要... 続きをみる

  • 鞍馬龍二 その30

    何とか無事結婚式も終わり、いよいよ二人の新婚生活が始まった。龍二が今までお世話になっていた響家にはもう住むわけにはいかない。市役所付近の小さなアパートを借りて住むことにした。龍二は澄子をとても大事にした。澄子も今まで通り食堂で働きながら家事をこなし、疲れた顔一つ見せずに頑張った。二人はお互いにとて... 続きをみる

  • 抜糸する前にやらかす。

    「2週間後に来院して下さい抜糸しますから」そう言われて服を着せられ戻って来たのは良いけれど、日課の毛繕いができない苛立ちが日々募って来たらしい。手術後10日程経って、私が仕事から帰って来たら、後ろ足を渡してボタン止めしてある紐が外れて、床に着いている。ひと目でうんちが付着しているのが分かる。病院側... 続きをみる

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  • 鞍馬龍二 その29

    人は誰しも、大小あれど夢や希望や願望を心の奥底に持っている。冴子は普通に歌っている分には問題はないが、気持ちを込めてソプラノで歌うと、なぜか聴いた全ての者は、眠りに陥って夢の中でそれが叶うのだ。ある者は総理大臣に、ある者は大金持ちに、あるものは映画の中のヒーローにと。歌っている時間は3分程でも、夢... 続きをみる

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  • 鞍馬龍二 その28

    「・・・やまくん。...てやまくん。」(ん~ん、なんだよ~うるせーな~)「立山くん!」ハッと目が覚めた。机にうっぷして寝ていた。かなり年配の女性教師が黒板に向かって数字を羅列している。(教室?あれ?学生服着てる)窓際の席。横を向き窓の外を見ると、グランドでどこかのクラスがバレーボールをしている。(... 続きをみる

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  • 鞍馬龍二 その27

    席に戻ると、母娘が感心した様に自分の歌を褒めてくれた。謙遜しながらも嬉しい気持ちになり、照れ笑いしながらビールを一口飲んだ。暫く食事を楽しんでいると母娘が何か揉めているのに気がついた。何とはなしにその会話が耳に入ってくる。娘が「私も歌いたい。」と言っているのを、なぜか母親が止めているようだ。「あな... 続きをみる

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  • 鞍馬龍二 その26

    共に親族の少ない二人だったから、そう広くない挙式の間でも空間だけが目立つのだが、厳かな雰囲気は より一層漂く、心地よい緊張感の中で粛々と儀式が執り行われた。誓いの言葉を読み上げる龍二の声は緊張で少し震えて聴こえたが、皆には真摯な心からの言葉として響いてきた。 白無垢に文金高島田姿で隣に立っている澄... 続きをみる

  • 鞍馬龍二 その25

    通路の奥から紋付の羽織と袴姿で龍二が歩いてきた。隣には小柄ながら存在感のある中年が一緒だ。おそらくは父親の祐蔵だろう。ヒゲを蓄え白髪混じりの長髪。 バンダナを巻いたら似合いそうだ。それもそのはずで彼は彫り物の大家。とても著名な芸術家なのだ。だが作品は知っていても本人を知る人は余りいない。 「やあ、... 続きをみる

  • 鞍馬龍二 その24

    月日は流れ農業高校を卒業した圭太は、農業に従事する事を嫌い、同地区にある農協(現 JA)になかば縁故によって就職した。両親は、ことのほか喜んでくれた。そして自分も、社会人としての第一歩を無事踏み出せた喜びを感じながら日々忙しく働いた。 そんなとき一通の封筒が届いた。差出人として『鞍馬 龍二』とある... 続きをみる

  • 鞍馬龍二 その23

    下校後、レストランに行って店長にバイトを辞める事を告げた。店長は急な話に戸惑ったが、身分が学生と云うことで無理やり引き止める訳にはいかなかった。圭太は家事都合と言うだけで本当の理由を明かさなかったが店長はしつこく訊いてこなかった。その足で世話になった龍二の下宿先の『響』に向かった。もう気分的には、... 続きをみる

  • 野良猫時代のミャー。仔猫を引き連れ目つきが悪い(笑)

    撮影後ちゃ色虎猫が消息を断ち、白黒チビ助が軒先で殺されていたので、庭の片隅に埋葬した。その2、3日後ミャーがボロボロの体で現れた。なぜかその時から私に擦り寄って来るようになった。

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  • 鞍馬龍二 その22

    それからというもの、「おい逃げ虫邪魔だ、どけ!」と体当たりをかまされ、「こら!逃げ虫、残飯捨ててこい。」と小突かれ、「なにやってんだww!逃げ虫、皿が足りないぞ~、早くしろ。」と怒鳴られる。「済みません。もう少し待ってください。」と応えると「ばっきゃろww!もたもたするな~。やっぱ、逃げ虫はあかん... 続きをみる

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  • 鞍馬龍二 その21

    圭太は、今日だけは授業がもっとあればいいのにと、本気で思った。昨日の帰り際、龍二に向井先輩たちに対して軽口をたたき笑って別れたが、眠りにつく前に雀荘での出来事が次々と思い出されるにつれて、前以上に先輩たちからの苛めがひどくなるのじゃないかと不安になって寝付けなかった。だから今日はバイトに行きたくな... 続きをみる

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  • 鞍馬龍二 その20

    背中の澄ちゃんは思いのほか軽く、過去の不幸を物語っているようだった。繁華街でタクシーを拾い運転手に行き先を告げ、必ず家の者を呼び出して欲しいと念を押した。一万円を運転手に渡し、お釣りは要らないからと言ってドアを閉めた。自転車の置き場所まで戻る道すがらも、澄ちゃんの体温がまだ背中に残っている様で何か... 続きをみる

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  • 持ち家を出てアパートに住もうと。

    2,3年後に今の家を出て安アパートに住もうと思っている。 妻子と別れ現在一人暮らしの身、子供たちもこの家を継ぐ気はないと はっきり言ってることだし、いずれは廃屋となる運命。ならば残りの2,30年の人生は私の自由にさせてもらいたい。姉妹と子供たちには了承をとってある。厄介なのは叔父叔母連中だが、何と... 続きをみる

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  • 鞍馬龍二 その19

    『カラン、コロン』と扉を開ける音がして二人が店から出てきた。澄ちゃんは意識が朦朧としているのか、足元がおぼつかない。それを専務が、肩を貸して少しづつ前に進んでいる様子。専務は頻りに澄ちゃんに何か言って「分かった?分かった?」とその声だけは、龍二にも聞こえてきた。澄ちゃんは意識があるのか無いのか、そ... 続きをみる

  • ミャーだよ、ヨロシク(≧▽≦)ゞ

    私より賢そうで凛々しい(メス猫だけど)ミャー

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  • 鞍馬龍二 その18

    『スナック陽炎』の照明看板が見えてきた。スピードを落とすことなく、そこに向かって突っ走る。店をわずかに通り過ぎ、店とホテルの間にある建物の陰へ。1メートル程奥に入り、暗闇の中に自転車を停め、身を潜めた。なるべくなら人目につかないのが望ましい。チカチカと点滅するネオンの光で、腕時計の針を読むと9時5... 続きをみる

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