takakazuのブログ

家庭菜園と、趣味での小説

イブ#その3

(あの頃の一人遊びが原点だった気がする)と遥か遠い過去に
思いを馳せ、稲光を見ている。(そして・・・)小、中、高と勉強をそっちのけにして暇さえあれば図書室で科学の専門誌を開いていた。授業はあくびが出るほどつまらなくクラスメイトが必死にノートをとり、テストがある度騒いでいるのが馬鹿くさく思えてならなかった。しかし目立つことは避けたいとの思いから、わざと60点キッチリになるよう加減した。
加減はするが、それだけではつまらないので難問だけ解答し簡単な
問題をわざとはずした。だから先生が回答用紙を返すたび小首を傾けまじまじと見てくる。それが楽しみの1つでもあった。(そういえば、この計画を行動に移したのは高校に入ってすぐだったな)資金調達のためバイトを始めた。同級生達がCDや遊ぶ金欲しさにバイトしていると雑談に講じているのを、かやの外から聴きながら(僕には将来達成したい夢がある。今からそれを始めるには遅すぎるくらいだが、きっとやり遂げてみせる。達成するには大金が要るが棚からぼたもちなんてあり得ない。こつこつ稼いでいくしかないんだ)新たな決意を心に誓い唇を強く噛んだ。
高校は地元の工業高校で情報通信課。製造課にするか迷ったが高度な知識を得る為にはこちらを選ぶべきと判断した。
アルバイトは、幸いにも単車で30分程で通える隣市の総合ロボット開発会社が募集を していた(15歳の誕生日後、真っ先に免許を取得し中古の単車を拝み倒し買ってもらった)が
アポなしで直接乗り込むほかなかった。募集は大学生以上と記されていたから普通の手続きを行えば不採用確定間違いなし。しかし将来の夢を叶える宝庫の門戸が開いているならこのチャンスは絶対にものにしなければならないと思った。しかもバイト料も他に比べかなり優遇されていた。インターンシップ・アルバイトと銘うちエレキ・メカ系部門では自動車・ロボットの組み立て、はんだ付け等が主な作業となっていた。



春休み、パソコンのインターネットで所在地を確認し晴天の朝に家を出た。走行中は採用合格のイメージしか描かぬようにして、面接に漕ぎ着けたら余すところなく自己アピールをしようと決めた。(ここが第一関門だ。気合を入れる!)やがてゲートの前に着いた。守衛ボックスから警備員が険し気な目つきでこちらを見ている。(これは一筋縄ではいかないかもw門前払いってやつ~?)と早くも思案の場となった。