takakazuのブログ

家庭菜園と、趣味での小説

父子の決闘.その1

立山がふと思い立ったように携帯を取り出した。「ちょっとハヤテ君に電話してみるわ。出てくれれば良いけど」時間は2時前になっていた。冴子が黙って立山の耳元を見ている。すると数秒で立山の口元が動いた。「おお、ハヤテ君?ははは、その声の感じでは調子良さそうだな。」「うん、、、うん。そうか〜、もうそんなレベルにまで。風の流れが何となくだが見えるのか?驚いたね〜」「ま〜風使いだから最終段階になればその域に達するのは当然なのかもな。わしら凡人には到底理解不能だけどな。」「それで修行は今日で終わる訳だが、何時頃迎えに行けばいい?」「うん、うん。そうか〜。今は2時前だから、後1時間程したらこちらを出るわ。少し早いかも知れんがそちらで待っているくらいで丁度いい。それと、あんたが山籠りしている間に、こちらの様子が随分変わってな。うん?いや良くない方にだ。その事もじっくり話し合わなきゃならん」「うん、うんそうだな。じゃあそちらも整理が付きそうなものだけでも早い目に片付けておいてくれ。じゃあ」立山は通話停止ボタンを押しながら「あっ?冴子ちゃん、何か話すこと有った?」としまったという顔つきで訊いた。冴子は苦笑しながら顔の前で「いい、いい。」と左右に手を振って「帰って来たら否が応でも嫌な話をしなきゃならないからね〜」と呟いた。