takakazuのブログ

家庭菜園と、趣味での小説

伊藤君の大誤算・その3

やがて一同は郊外にある大型ショッピング・センターに着いた。広大な駐車場と、どっしりとした存在感のある建物。遠くからでも見える大きな看板。
ハヤテは「わ~すげww!僕が住んでた日和山よりでかいんじゃないんかな~!」と、思わず感嘆の声を上げた。
そして、色とりどりに空に浮かんでいるアドバルーンを興味深げに見上げている。他の3人は、全くの無表情で「割と空いてるね~」とか、「歩くの大変だから、なるべく店の近くにお願い。」とか、「それなら屋上に上がったらどうでしょうか?」などと話している。
上手い具合に、正面扉に近い場所の車が出掛かっているのを発見し、冴子が「あっ、あそこあそこ!」と立山に知らせてベスト・ポジションを確保した。
「じゃあ、私とまるちゃんは2階の衣料品売り場に行ってきます。あんた達は、どうするの?」と立山と清志に訊く。立山は「俺は・・・そうだな、電化製品でも覗いてくるかな?あそこなら按摩器に座って最新の大型テレビも観られる。」と言い、清志は「僕は書店で立ち読みしてます。」と、嬉しげに言う。
「えと、立山さんの携帯番号登録してあったかな~?」とアイフォンを取り出して検索し、驚いたように「あww入ってるよー。結婚式かなんかで交換したんだったっけ?」「そうかもな。携帯替えたけど、番号は前と一緒だから大丈夫だよ。」と立山が笑った。「清志君のも入ってるし。買い物終わったら電話するから、一応集合場所は、そうね・・・イベント広場ってことで。いい?」2人に了解の返事を聞き、車を降りて1組とふたりはそれぞれに散って行った。
店内に入ってもハヤテはきょろきょろ見回し冴子と歩調が合わない。それでも冴子は文句ひとつ言わず、ハヤテが追いつくのを待っては進む。
ようやく着いた若者向け洋服店で、母親のようにハヤテを引っ張りまわし、今風の服をあてがっては戻し独り言を呟きながら繰り返している冴子がいる。