takakazuのブログ

家庭菜園と、趣味での小説

伊藤君の大誤算・その4

「ふー!」と大きく息を吐き「まっ、これで取りあえずはいいでしょ!」と満足げに微笑む冴子の横で、大袋を両手に提げて疲れ切ったハヤテがいる。
「パンツの裾直しは後日になったけど、また立山さんを頼むか、それが無理ならバスでも来られるから。」ねっ、とハヤテに笑顔を向けた。
適当に頷いているハヤテから目線を外し、何か考えている。「あっ、そうだ。この際だから、私んちの買い物もしてこようかな~。まるちゃん、ちょっと悪いけど先にイベント広場に行って待っててくれる?ここに来るまでにイベント広場、あったでしょ?わからなかった?」そういえば大きな看板が宙吊りされててそこに『イベント広場』って描いてあったのを思い出した。かなり広い空間に色とりどりのクッションが並べてあり超大型ビジョンが設置されてて、客が思い思いの体勢で寛いでいるようだった。「あっ、わかります。大きな映像を映しているモノがあるところですよね?じゃあ、そこに行って椅子に座って待ってます。」「そうそう、そこよ。荷物多いけど・・・大丈夫よね。ごめんね、なるべく早く戻るから。」そう言い残して、足早にハヤテから遠ざかっていった。ハヤテはおっかなびっくりで、エスカレーターに乗り2Fから1Fに降りた。そして目的のイベント広場とは反対方向に歩いていった。ハヤテ自身で買い物をしようと思い立ったのだ。
そこはペットショップだった。今もハヤテの大きなポケットの中で秀吉が眠っている。秀吉の為に、ごちそうを買ってやろうと考えたのだ。ガラス張りの中にケージがいくつも並べてあり、中には様々な小動物が入っていた。みな大人しく眠っているか、起きていても殆ど身動きしない。(こいつら、大丈夫なんかなww?)と不安な気持ちにさせられたが、時間が余りない。そこを離れ、動物の餌のコーナーに移った。(リスのえさは・・・と。ああ、あった。)ひまわりの種と色取り取りに混ざった配合飼料の中袋を買った。あまりに荷物が多すぎて、大袋は無理と判断してのことだ。ますます、歩くのが困難になり両腕が疲れてきた。ようやく着いた広場の四角いクッションに座り、ほっと一息ついた。すると、ポケットから秀吉が顔を出し、買ってきた餌を見つけた。ハヤテの肩に素早く駆け登りおねだりしだした。ハヤテは、仕方ないと云う表情で袋を少し開け、ひまわりの種を手のひらに少しだけ盛った。座っているクッションの位置を少しずらしそこに手を置くと、秀吉が腕を伝って降りて来た。そして種を両手で掴み貪るように食べだした。その様子をハヤテは目を細めて笑顔で見ていたのだが、いつの間にか小さな子供や老人がその周りに集まり出して人垣が出来ているのにようやく気がついた。(あらら・・・。あらっ)皆が秀吉を見ている。ザワザワとあちらこちらで囁く声がする。(何だ、何だ~?)やがて人垣を掻き分けて、汗をかき真赤な顔をした制服姿の若い男性が目の前に現れた。