takakazuのブログ

家庭菜園と、趣味での小説

ハヤテ、山での修行を思いつく。1

次の日の朝、ハヤテは心地よい気分で目が覚めた。昨夜の夢が、鮮明に蘇ってくる。(じいちゃんが天国から僕を応援してくれてる。たぶん母さんも)カーテンを開けると、朝日が差し込んでパーッと部屋を明るくした。窓を開ければ、爽やかで新鮮な空気が風と共に入ってきた。おおきく深呼吸しながら、(そういえば、此処に来てまだ3日目なんだ。色んな出来事があったんで、かなり前から住んでいた気がするな~)などと考えながら窓枠に腰かけた。二階から外の景色を眺めながら、いままでの事を振り返っていると、冴子が階下で呼ぶ声が聴こえた。「まるちゃん、麗美~。ご飯できたわよ~!」麗美が隣の部屋から「は~い。」と返事をしている。ハヤテも返事をして下に降りていく。
挨拶をしてテーブルに着くと、冴子が「どう?よく眠れた?」と訊く。ハヤテは、昨夜の夢の内容を話した。「そう~?祐蔵おじさんが、夢の中に訪れてまるちゃんにアドバイスしてくれたのかもね?」と、微笑みながら暖かいみそ汁を椀によそっている。「それでね、冴子さん。僕、考えたんだけど暫く日和山に戻ろうと思うんだ。一週間くらい山で訓練しようかなと思って。じいちゃんは、あの翼は父さんと戦うためには必要だと夢で言ってたし、その為には訓練が必要だとも言ってた。だからといって、この近くではそんな場所ないし、ね。一週間分の食料と着替え持って帰ろうと思うんだけど・・・どうですか?」冴子は、黙って暫く考えていたが「そうね~。麗美がいなけりゃ私が付いて行って、色々世話ができるんだけど・・・。一週間か~。それくらいなら、ひとりで何とかできるわね。あっ、そうそう。あそこは電話線も通ってなかったんじゃない?おじさん、用事があるときはどうしていたのかしら?」「なぜかそういう時は決まって中年の紳士が訪れて来ました。じいちゃんに訊くと鞍馬一族の遠い血縁関係にある人で、テレパシーで会話ができると言ってたような気がします。だから、じいちゃんの死ぬ間際も連絡なしで来てくれました。その人ね~、病院の先生でお坊さんなんだって。それ聞いて驚いちゃった。あはは~」冴子も一緒に笑っていたが「ねえ~まるちゃん。使い捨ての携帯電話ってのがあるみたいだから買ってあげるよ。何かあるとき便利でしょ?」「そんなのあるんですか~?・・・いいです、僕が買います。今日、立山さんの家に行って、山まで送ってくれるように頼んでこようと思っているんです。そのついでに、立山さんにきいて買ってきます。自分の事は自分で何とかしなきゃ、ね。」「まるちゃん、偉いね。・・・でもね、私の事、お母さんだと思って甘えていいのよ。」冴子が優しく微笑んでハヤテを見ていると、眠そうに目を擦りながら、ようやく麗美が階段を下りてきた。