takakazuのブログ

家庭菜園と、趣味での小説

ベストパートナー・その8

暫くの間ギターやパーカッション、シンセサイザー等の調節音が聞こえて来て、(おおー、間もなくやな~ワクワク)という心境。「皆さん!長らくお待たせ しましたー!キリキリくノ一隊の登場です!盛大な拍手でお迎えくださいー!」 照明が消されて暗闇だった舞台が、突然大音響と色とりどりのレーザー光線によって、一変した。ステージ左右の袖からクルンクルンとバック転を綺麗に決め 一人又一人と舞台中央に集まってくる。そして最後は中央奥から由真がダッシュ! メンバーが二人一組になって、手を繋ぎ腕を伸ばして中腰でスタンバイしているところをめがけ、側転二回の後、踏み切ってバック宙返りで飛び越して見事着地~! 両手を上げ、爽やかな笑顔を見せた後一礼した。一瞬間が開き、「おお~!」 っと怒涛のような喝采の叫びと声援と拍手が会場を埋め尽くした。
昭雄は身震いするほど感動し鳥肌が立った。会場内のフアンたちが一つになって波をつくっている様だ。 とても居心地が良いし高揚感も最高だ。この波にどっぷり浸かって贅沢なひと時 を過ごせる喜びに心底のめり込みたいと思った。 体操選手さながらの回転技など、普通なかなか出来ない。一流のアイドルとも なれば、人に言えない血のにじむような努力を裏ではしているのだろうな~と、そういうことまでふと思うのであった。(でも・・努力しなくとも、できちゃう天才が 僕の隣にいるけどね。)っとチラッと美鞘を見た。 「あなた~に 恋する わ~たしー♪」オープニングでデビユー曲の『恋手裏剣』が いきなり始まった。ウオー!と観客が喜びの雄叫びをあげる。
「微笑んで~る 相手~は 私じゃないのは 悔しいけれど わかっているわ~ 心のなかで~ こっちを見てよ~ いつも叫んでいるの~(ノンノンブレイクハート)あ なた~の部屋のまーど~トント~ン叩く~のは~~風の精じゃ~な~くて~ 私~ の 影分身なの~よ~♪」(作者(^_^;))舞台狭しと踊り歌う彼女等は、観客 の熱視線を体中に受けそれがパワーとなって エネルギッシュに歌い続けた。 途中で最近のメンバーの私生活や、近況報告等をMCとして折込みながら 瞬く間に時間は過ぎていった。しかし誰も予期せぬアクシデントが終演間近に 起きてしまった。余りに全力でブッ飛ばし過ぎて足に筋肉疲労が溜まっていたのだ。い つもはビシッと決まる筈の膝に置かれた手に足を乗せ、空中高く飛び上がって宙返り をして着地をする技が微妙にバランスを崩してしまった。何とか決めようと無理をしたのが災いして、足 の裏で真っ直ぐに着地できなかった。(グキッ)っという嫌な音が近くに いるメンバーには聞こえ、よろけて跪いた。由真はすぐさま立ち上がり両手を上げにこやかに 笑ったがそれも一瞬でまた倒れこんだ。苦痛な表情で両手を左足首に置いている。大 変な事が起こった。観客は騒然とし皆悲鳴をあげ立ち上がっていた。メンバーたちが 駆け寄った。スタッフも集まってくる。急いで幕が閉じられた。