takakazuのブログ

家庭菜園と、趣味での小説

イブの決意・その17

「おっ、そうだ」橘は携帯を取り出した。昭雄は未だにスマホではなくガラケーの携帯を使っている橘を見てホwwッと声に出さず息を吐いた。(私もガラケー^^)
「早速高畑さんに電話で訊いてみるわ」ふたりは頷く。ボタンを操作し耳に当てて暫くすると、高畑が電話に出たようだ。
「あwwもしもし、橘です。先日はどうもでした。その後、彼女はしっかり働いているでしょうか?」テーブルを見つめて話し出す。
「えっ?そうなんですか?なんと!はww。・・・・・何者だと言われましても~、は~。・・・・でもですね~、ご迷惑かけている訳じゃないし、むしろお役に立っているんでしょう?は~、まあそう言わず、暫くの間使ってやって下さい。・・・・はっ?あ、はい!いや、それは、私の口からはなんとも・・・。は~、ありがとうございますです」そういって、頻りに頭をぺこぺこ下げだした。ふたりは何となく想像できた。おそらくは彼女が事務所で騒動を引き起こしているのだろう。紹介した橘に高畑は何かぼやいているらしい。
「ところで高畑さん、一度昭雄と美鞘のと3人でそちらに窺いたいのですが・・・。はい、例の薬品工場の見学についての打ち合わせなんかもしたいしですね。ええ結構です、そちらのスケジュールに合わせますので。ただ彼らには学校もありますんで、土日でなんとかよろしく・・・あっ、申し訳・・・あっ、はい。では、よろしくお願いします。失礼します」話の途中から、顔が赤らみ汗が吹き出てきたのかおしぼりで頻りに拭いていたが、電話を切って『ふwwwっ』と、大きく息を吐いた後、しばらくの間、無言でぼ~っと天井の照明を見つめていた。昭雄が「何か大変な事が起きたんですか?」と、興味深げに声を掛ける。
「あっ?ああ・・・まあな。悪いことじゃない、仕事がよく出来るって話だった。ただ、出来すぎるってな。事務をやらせりゃ10桁以上もある積算の合計を瞬時に出したので、ふざけてるのかと叱りつけて、もういいと他の女子社員に計算機でやらせたら合っていたと。使いに出したら、普通に歩いていけば20分は掛かる距離を5分で戻ってきたと。あまりに早かったのでトイレにでも行ってて、今から行くのかなと思って訊いたら、もう行ってきたと。イブは人間なのか?と訊かれたよ。そのまま、人間じゃないですって言い返しそうになったよ~。ははは~」困ったもんだと云うように橘は弱々しく笑い、実鞘が「普通、何かの魂胆があるのなら能力は隠すと思うんですけどね~。ばかなのかな~?あっ、でも電算機より計算が早いんだっけ?面白い宇宙人ですね?」と、くすっと笑う。
「やはり・・・敵ではないみたいだな~」と、昭雄も笑いながらそう言った。