takakazuのブログ

家庭菜園と、趣味での小説

(第2章)親子の和解・其の4

「それで?立山さん。この子を連れてここに来たのは何らかの理由があるって顔よね?」さすがに冴子は鋭い読みをする。

立山は、右頬を人差し指でポリポリ掻いて、苦笑しながら「実はこの子、ハヤテがフル装備して飛んで行くところを目の当たりにしてるんだよ」と、厄介な事が起こったと云うニュアンスで話す。「えっ?マルちゃんが無警戒で?まさか」そこでまっとんが口を挟む。「本当です、学校帰りの近くの公園で。同級生と二人で見ました。錯覚とか、幻覚じゃないです」なぜか顔を赤くして、興奮気味に話す。「まっとんさんは、嘘吐いてないわよ。私が保証するわ」保証ってなんだよ?まっとんを含めた3人が怪訝な表情を浮かべ麗美を見る。「あぁ?ははは」麗美は自分が馬鹿なことを言ったと気が付いたのだろう「マルちゃんが飛べるって事は、私達みんな承知している事だから」と、視点を逸らした。立山は「まっ、そうだな。それでワシも縁の様なものを感じ、一緒に行動してもらおうかと思ってな」立山は、ルポライターとして一旗揚げようとは言えないようだ。まっとんも、何かが引っかかってると感じたが言葉にはしないでいた。

冴子はちょっと小首を傾げて何か考えているようだったが「あんまり中学生を引き込まない方がいいんじゃない?」「あっ!僕は大丈夫です。無理しないで、できる範囲で適当にやりますから」「そう?あまり、このおじさんの行動にのめり込まないでね。火傷するわよ」冴子は心配そうに言って「で?まだ何か話しがあるようね。何か冷たいものでも飲んでく?」やれやれと云うように、居間の方に引き返す。

麗美は携帯で友達に行けなくなったと電話をしている。立山とまっとんは、三和土で佇んで許しがあるまで待っている。その横を麗美が鼻歌を歌いながら、すり抜けていく。立山が小声でまっとんに話し掛ける。「ワシがルポライターをしている事は、時が来たら話すから、今は黙っていてくれ。それと、お前さん。ファンクラブができる程モテてんのか?すげーな」立山が、ちょっと身を反らし感心したような顔つきでしげしげと見ている。まっとんは、火の出るほど顔を赤らめ身体を縮めた。