継正は毎夜異星での夢を見る。江戸時代宇宙に対してどこまでの知識があったかは分からないが、幸いにも継正は物事に柔軟な考え方が出来るのか、 受け入れるのは早かったようだ。だから異星人を認めたし、彼からの話の内容も信用した。異星人から止められたことがひとつ。書き物として残さない事。第三者の者が開封して大... 続きをみる
takakazuのブログの新着ブログ記事
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継子(けいこ)は話を整理するように、少しの間押し黙った。皆はそれが伝わったように口を開くのを待っている。父の正男は運転中だから、話にのめり込み過ぎないように自身にセーブを掛けて、時折ナビの画面を視たり窓外の景色を意識して眺めたりしている。 「そうね~、まずはご先祖さんが異星人から授かった武器がどう... 続きをみる
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「ちょ、ちょっと待って、お母さん!」美鞘(みさや)が、後部座席から身をのり出す様に母の話を止めさせた。 「あっ、ごめんなさい、話の途中なのに。ちょっとパニクっちゃって・・・」そう言いながら元の位置に座り直す。 「その話、私がその宇宙から来た怪物と戦わなきゃならないわけ?まさか、冗談でしょ?だってお... 続きをみる
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「俺の提案とはこうだ。今日の所は立山を帰してやる。だが、ただ帰すのではなく伝言役を引き受けてもらう。そこの調子もんの甥っ子が言っていた学生を研究所に連れて行くから明日の・・・そうだな社員を皆帰してからの方が何かと面倒掛からないから夜7時に引き取りに来いと息子に言うんだ。足がないから、立山、お前が乗... 続きをみる
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龍二が話した最強なる息子というのを一同がそれぞれに想像しだして、室内は静寂に包まれた。静寂を破ったのは又しても秀也の声だった。「叔父貴ー!誤魔化されてはいかんぜー。そいつは、そのおっさんを助けたいばっかりに嘘をついてるんだ。俺だって多少は知ってるんだぜ。龍二とおっさんは古くからの友達なんだってこと... 続きをみる
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車中での母の話の内容に皆は驚きを隠せなかった。が、その一語一句を聞き漏らすまいと皆は押し黙っている。その内容とは・・・ 今から三百年程前の深夜の事。継正の眠っている枕元に何者かが立っていた。継正は剣豪である。その彼にして気衝く事のできない侵入者であった。 (ツグマサ・・・)耳から入ってくる声ではな... 続きをみる
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美鞘の住む埼玉と母の実家である群馬県とは隣県ではあるけれど車で行くには1時間以上かかる。 母の継子は美鞘と代わり助手席に座った。そして正男にアドバイスを受けながら、通販で買った小さなカーナビに行き先をセットした。父の正男は、継子の実家には2度だけしか行った事がなかった。1度目は結婚を認めてもらうこ... 続きをみる
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車を脇に寄せハザードランプを点けながら憔悴しきった父がいる。蹴られたところが痛むのか、顔を顰めて体のあちらこちらを摩っている。だが大した怪我でもないであろう、 向こうは暴力のプロなのだ。マル暴がうるさくなってる昨今、傷跡を残すようなへまはしない。彼らは精神的ダメージを与える為一芝居うったのだ。だか... 続きをみる
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未無来がチンピラ達と車に乗り研究所に向かう途中でのこと。 田舎の国道を軽乗用車が走っている。車内は陽気な笑い声であふれている。 「だからな、お父さん耐えきれなくなって部長にこういってやったんだよ 『ダレジャ?性もないダジャレ言ってんの。寒すぎてギャグクリ腰になっちまったよ』ってな。」一瞬、車内が静... 続きをみる
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未無来所長は、組の事務所に出入を許され、暫くは退屈しない日々を於くっていたが、何時までもそうしている訳にはいかないと思った。そして朝方研究所に戻る途中、若い下っ端がささいな事故を起こしてしまったのだ。後部座席で(やれやれ・・・)と事が収まるのを待っていたが思わぬ事態になったらしい。一人の少女に暴力... 続きをみる
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「ふあwwぁ」突然龍二が大あくびをしたので、張り詰めていた空気が一瞬にして消え去った。 「もういい、やめろ。しようもない。この事務所や俺達を汚い血で染めるつもりか?馬鹿ばっかりだな、全く」「お前、俊介って言うのか?お前だけだな、まともな考え方しているのは。あそこにいる調子もんの教育もしてやれよ」顎... 続きをみる
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事務所内が立山を取り囲んで騒然としている中、龍二だけはあくびを嚙み殺しながらソファーに座っている。それは殺気立った周囲の中で、異様に映った。まるで同じ場所に居ながら、彼だけ別世界に存在しているかのような・・・。誰もいないソファーに、座っている龍二を切り取ってきて張り付けた合成写真のような、完成した... 続きをみる
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勝ち誇ったように退室した加藤の残像でも見ているのか、乾は暫くの間、身動ぎもせず鬼の形相でソファーを睨みつけていた。「おのれ~出来ぞこ無いが~偉そうにー!あいつだけは絶対に許さんww!」思わず声に出してしまう程、激昂していた。 が、数十秒後 さすが東大出の超エリートは冷静さを取り戻していた。最近使う... 続きをみる
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厚労省のトップに居座ってるその男は、加藤と同期であった。 不器用な彼とは正反対に、あらゆる汚い手を使いまくって最高速で 今の地位に登りつめた男である。同期ゆえに、互いの胸の奥で 微妙に意識する存在であった。片や優越感と蔑みであり、片や誰よりも遠避けたい世界で最も嫌な男なのである。その彼から呼び出さ... 続きをみる
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帰宅途中の加藤は胸を張り、颯爽と歩いていた。自分は森羅万象全てから祝福されているとの心持ちであった。(無敵だ、あのエキスを飲んだ時から私は無敵になったのだ。あふれ出るエネルギーがそれを実証している。)自然に笑みがこぼれ、思わず高笑いしたい気分だ。 普通なら朝帰りなどしたら、疲れ切ってとても正常な行... 続きをみる
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この章は18歳未満お断りです^^;小説の流れ上、どうしても必要だと判断し、少しだけエロい筋書きとなっておりますので><;。よいこのみなさんや真面目な方々は、す~っと流し読みしていってくださいね^^; そのドリンクを飲んだ瞬間、言い様のない強烈な生臭さと『ドロリ』とした粘リ気のある液を喉元が本能的に... 続きをみる
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(あ~、ここだ、ここだ。)地図らしき物を手にし、ようやくたどり着いたと云わんばかりに『ふーっ!』とひとつタメ息をついて加藤は玄関前に立った。彼は厚生労働省の外回りで、申請登録を受けてここに訪れたのだった。ビルのテナントに金看板で「医療研究所 所長 未無来 統一」(みむら・・ふざけた苗字。偽名だなこ... 続きをみる
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「雅次兄さん・・・。あっ、危ないじゃないっすか!怪我すっから、そんなもん収めてください」立山から3,4メートル離れたところで、真っ青な顔色をして、震えながらドスを構えているのは、立山より2つ年上の雅次だった。荒っぽい連中の中にあって、普段はとても大人しく、性格的に似ている所がある立山とは、割と気が... 続きをみる
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「警察に電話しますわ。まだら組に誘拐されたと」立山はスッとポケットから携帯を取り出しボタンを押そうとした。「ちょっと待てや、こらww!」組長が乗り出して押そうとした方の腕を掴んだ。立山は組長を睨みつけながら「今すぐ清志を解放して下さい。連れて帰りますから」声に怒気を孕んで叫ぶように立山が言った。組... 続きをみる
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班目が立山の向かい側のソファーにドカリと座り、その隣に伏し目がちな龍二が静かにゆっくりと座った。ソファーの脇に立っている俊介に顎をしゃくって(引っ込んでろ)と合図を送る。俊介は一礼して退いた。班目はイラついている様子を隠そうともせず、テーブルに備え付けられているシガレット・ケースから、タバコを一本... 続きをみる
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本革のシートに立山は浅く座った。周りは異様な程、静まっている。顔見知りの面々がちょっかい掛けてくるかと思ったがそれもない。究極の居心地の悪さだ。俊介が、組長と龍二のいる部屋に入って10分程経っている。中で何を話しているのか、なかなか出てこない。立山は、イラついてくる気持ちを抑えながら待つ。ようやく... 続きをみる
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立山の妻、幸恵は立山と知り合う以前、班目の女だった。班目が組長になる前の話。 JAに勤めていた頃、仲間たちと飲み歩いた時に何気なく入った店で幸恵と出会い、見染めてしまってから、店に頻繁に通うようになった。幸恵も立山の事を憎からず思うようになり、やがてお互いに愛情を抱くようになったが、幸恵に近着こう... 続きをみる
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次の日の午前10時過ぎ、立山はまだら組が所有するビルの地下駐車場の中に車を停め、その中でシートを倒してタバコを吸っていた。煙が籠るので、両方のサイドウインドウを半分開け、外気を取り込んでいる。この駐車場に入る前に、「喫茶まったり」に組長と龍二がいないか車内から確認したが、いつもの席に人影がなかった... 続きをみる
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立山がいつになく深刻な顔で、何か考えている。沈黙に耐えられずに、冴子が「コーヒーでも入れるわ」と立ち上がる。立山は表情を変えずに「うん」と返事した。(明日はハヤテ君を迎えに行く日だ。ハヤテ君は修行の成果を出せたんだろうか?)台所の方から、コーヒー豆をミルで砕く音がする。 (気を使わなくていいのに。... 続きをみる
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山の日暮れは早い。午後4時半を過ぎると、もう辺りは薄暗くなってきて(今日はこれくらいにしておこう)と天狗の面を外し額の汗をぬぐった。 原っぱから家に向かう道すがら、ハヤテは疲れ切った足取りでトボトボと歩いてはいるが気持ちは充実していた。何度も崖の上からダイビングを繰り返しているうちに、段々と翼を動... 続きをみる
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ハヤテは翼を羽ばたかせた感覚を忘れないうちにと、腰かけていた岩から立ち上がった。「よし、やるかー!」と声に出して、気合を入れた。 先ほどのダイビングで、心身とも、取り分け精神的疲労は激しかっただろうが、そこは15歳という若さがものをいう。たった10分程で急速に回復できた。 多分、背中の羽根が動かせ... 続きをみる
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秀也は非常階段を降り、校舎の裏側を通って垣根の外に出た。ここは昼間でも薄暗く、舗装が施していないため雑草が足のくるぶし程伸びてはいるが、かなり広い側道である。ここを通る車や人はいない。なぜなら、道なりに進むと行き止まりとなっているからだ。通知表に影響する試験日には佐竹がこの場所で車の中から解答を秀... 続きをみる
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2月半ば、まだ寒さが残るこの時期、何の種を撒けばいいのか検索したらほうれん草かカブだった。 ほうれん草もカブも昨年のが残っていた。何故かほうれん草の発育がよくなかったが、やはり今年もほうれん草は芽が出なかった。 昨日ホームセンターをうろついていたらじゃがいもの種芋が売っていた。もう、そんな時期か?... 続きをみる
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一本歯下駄に指を通しながら「ちょっと出かけてきます。」と店を出たのが10時前。店の前は、本道から外れた枝道だから車の行き来も少ない。しかも通勤時間帯はとっくに過ぎている。ハヤテは、のんびりと街並みを眺めながら歩いている。本道に入ると、さすがに騒音が激しくなる。山を下りた当初に受けたカルチャーショッ... 続きをみる
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次の日の朝、ハヤテは心地よい気分で目が覚めた。昨夜の夢が、鮮明に蘇ってくる。(じいちゃんが天国から僕を応援してくれてる。たぶん母さんも)カーテンを開けると、朝日が差し込んでパーッと部屋を明るくした。窓を開ければ、爽やかで新鮮な空気が風と共に入ってきた。おおきく深呼吸しながら、(そういえば、此処に来... 続きをみる
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いつの間にか太陽は西に傾いて茜空となっていた。「何かあったの?」と、好奇心で目がぎらついている立山に、冴子が事の成り行きを短くまとめて話して聞かせた。 立山は「へー!」とか「あ~そう!」とか合いの手を入れながら、やけに楽しそうだ。「・・・っとまあ、こういうことだったのよ。」冴子がやれやれ疲れたわと... 続きをみる
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「私は随分と悩みました。大学4年生になっていて、周りは皆、就活に励んでいます。今になってマルサンから方向転換は、目標を失うことに等しい。ですが、現状を見ると入社できたとしても魅力の持てない箱の中で、終身勤め上げなければならない。もしかして、喜びも見つけられず苦痛だけの日々を定年まで続けなければなら... 続きをみる
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伊藤は少しイラついていた。店長の大学生時代の話はいつまで続くのかと。祖父の偉大さは赤の他人に言われなくても俺はよ~く解っている。今は時々しか会う機会がないが、幼少の頃はとても可愛がってもらった。祖父から直接仕事の話なんか子供の自分には話すわけがなかったが、両親から事ある毎に偉業を聞かされ育ったから... 続きをみる
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「私はね~、大学生になりたての頃、本屋さんで何気なく一冊の経済誌を手に取ったんですよ。ほんとに何気なく、ぺらぺらと流し読みしてました。 そして中ほどのページで手が止まったんです。独占インタビューの記事でです。頭の禿げ上がった如何にも人の良さそうな初老の方が写ってました。タイトルには『小さな雑貨店か... 続きをみる
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薄暗い通路を通り、冴えない表情の伊藤が事務所に入っていく。社員たちは、いつもの様に机に向かってパソコンの操作や、打ち合わせをしているが、雰囲気がいままでと違っていると感じた。それは、伊藤が入室した途端に変化したものだと気付く。(皆が俺を意識している。すでに俺の素性が広まったか?) 「おい、北村~。... 続きをみる
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ふたりを乗せた車があざ笑うように伊藤の目の前を通り、走り去っていった。ドアの外に出ていた社員や野次馬達も、ひとりふたりと店内に戻って行く。 悔しさに唇を噛み締めていた伊藤だったが、何かを思いついたように従業員通用口の方に駆け出した。従業員通用口は、ひと気のない店の裏側の一角にあった。従業員のみが出... 続きをみる
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レンタカーの適度にエアコンが効いている車内でシートを倒し、立山は両手を頭の後ろで組んで目を閉じている。 清志は、デパートの正面玄関の方を呆然と見て冴子らが出てくるのを待っている。 「あれ?!立山さん!あれ、響さん達じゃないいですか?」その言葉に立山が体を起し、出入り口を見た。「何か、変じゃないです... 続きをみる
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前回と前々回はファイザー、今回はモデルナ。以前同様、当日と次の日腕に鈍痛がしていたがそれも治まった。人によれば高熱が出て2.3日寝込むものもいるという。イヤミな同僚と話すと、接種後の体調が軽い者は効き目が薄いかも知れんぞと何の根拠もなくのたまった。こう言うデマを流す輩が少なからず居る。そう言う者に... 続きをみる
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今、ユーチューブで民謡日本一の朝倉さやさんがjーポップを東北弁で歌っていて話題になっている。その声は3オクターブは有るだろうし高音部も涼しい顔で難なく出せてるのに驚く。私の幼少の頃は三橋美智也さんが民謡上がりで素晴らしいのどを披露し、ヒット曲を連発し、有名どころでは金沢明子さんや細川たかしさん。み... 続きをみる
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冴子は事務所の扉を開け放ち一段と歌声を張り上げた。冴子の歌声を聴かせて眠らせる能力は、移動する際には不利となる。 歌声が届かなくなれば、術にかけられていた者はすぐに目覚める。現状を取り戻す時間は個々によって違い、普段の寝起きとほぼ同等だ。 だが目覚め後も、いきなり眠ってしまったというショックと夢の... 続きをみる
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伊藤が、いきなり専属キャラクター云々と口走ったので冴子たちより店長がびっくり顔で彼を見ている。目の前に置かれたコーヒーも目に入らないようだ。 「い、伊藤君、そりゃあ先走り過ぎだよ~。海のものとも山のものとも・・・いや、失礼。と、とにかく何の肩書きもない君が勝手に推し進めることじゃないよ。今日のとこ... 続きをみる
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窓際の上座に冴子、その隣にハヤテが居心地悪そうに座っている。冴子の前に店長がお飾りで座らされ、伊藤だけがやけに満面笑顔でふたりを見つめている。ふたりの前に名刺が差し出されている。名刺にはマルサンデパート如月支店・店長 里中秀雄とある。「こちら店長の里中です。」と伊藤が紹介すると、営業的な作り笑いを... 続きをみる
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立山はシートを少し倒してぼんやり車外の景色を見ている。太陽の光で何もかもが白っぽく映っている。(働き口を早く見つけないとな・・・) トントンとリヤ・ウインドゥを叩き、顔を向けると清志が覗き込んでいる。体を起し、少し開けて「開いてるから入れよ。」と、声をかけた。 後部のドアを開け、座席に座るなり、「... 続きをみる
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一方、冴子とハヤテはまだ柱の影に潜んでいた。一度出掛かったが、冴子が何を思ったのか直ぐに引き返したのである。 ハヤテの耳から栓を外し、「まるちゃん、作戦変更するわ。これだけ大勢の人達を眠らせたら、間違いなくけが人が出るわ。見て。あそこにエスカレーターが動いているし、こちらに幅の広い階段がある。エス... 続きをみる
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店長は思わず両肘をデスクにのせて手を握り、その上に顎を掛けてため息をついた。伊藤の提案をのんでしまった自分が情けないこともあるが、今後の展開に不安を感じずにはいられなかったからだ。店長は頭の中で若手社員の伊藤とは、どういう社内評価なのかを思い浮かべた。確か伊藤は入社5年目で、過去に本社勤務の経験も... 続きをみる
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「やばいことになっちまったなww」2Fの通路をひた走りながら、目を皿の様にして冴子を探すハヤテ。 ふと、目の端に何かが引っかかった。急停止し、よく視ると婦人服売り場の柱の影からニョキッと腕が出て手招きしている。 (もしや、あれは・・・!)ハヤテは柱の影に近づいた。やはり、冴子だった。姿勢を屈め「「... 続きをみる
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この大型ショッピング・センターは広大な立地面積を誇るが高さは然程ない。階は1階と2階だけだ。1Fは西から電化製品や靴屋、本屋、軽食・ファースト・フード店があり、東側に薬や化粧品売り場。そして最も大きくスペースをとり食料品売り場がある。それらの中央に位置する所にイベント広場があり、土、日祝祭日には幼... 続きをみる
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「ふー!」と大きく息を吐き「まっ、これで取りあえずはいいでしょ!」と満足げに微笑む冴子の横で、大袋を両手に提げて疲れ切ったハヤテがいる。 「パンツの裾直しは後日になったけど、また立山さんを頼むか、それが無理ならバスでも来られるから。」ねっ、とハヤテに笑顔を向けた。 適当に頷いているハヤテから目線を... 続きをみる
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やがて一同は郊外にある大型ショッピング・センターに着いた。広大な駐車場と、どっしりとした存在感のある建物。遠くからでも見える大きな看板。 ハヤテは「わ~すげww!僕が住んでた日和山よりでかいんじゃないんかな~!」と、思わず感嘆の声を上げた。 そして、色とりどりに空に浮かんでいるアドバルーンを興味深... 続きをみる
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